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2013年(平成25年)
 7月15日
  第28巻3通卷186号
  昭和62年5月22日第三種郵便物認可

チャップリン>186号


【高校球児から学ぶこの夏の熱中症対策】

大会中の高校球児は暑い中でも元気に走り回っているが熱中症にならないのだろうか?
いや全くならないわけではありません。毎年、何人もが熱中症で倒れています。
しかし、大部分の高等学校ではちゃんと対策をしているので、あまりならない印象があるのです。
甲子園球場でプレイをする高校球児も熱中症で倒れたという話は聞きません。
では、なぜ高校球児は熱中症にならないのでしょうか?
ここでは5つのキーワードを元にこの夏の熱中症対策を考えます。


 ■暑熱順化■

 暑熱順化とは、夏の暑さに耐えられる体になること。すなわち日頃から暑い中で練習をすることで暑さ耐性ができるということ。
 甲子園まで勝ち上がってくるような高校球児は、普段から暑い戸外で練習を重ねています。そのため、暑さに慣れる「暑熱順化」を起こしているのです。
 つまり、汗をかく能力が鍛え上げられて、熱を逃がしやすい身体ができあがっているのです。クーラーを使わないようにしたり普段から長袖長ズボンで過ごすなど、暑さに強くなるように努めています。
 では熱中症にかかりにくくなる「暑熱順化」って何でしょうか?
 暑熱順化とは、暑さに体が適応した状態のこと。順化前後で最も違うのは汗腺の働き。順化すると汗腺の機能が高まり、汗が出て行くときに汗腺でナトリウムが再吸収されます。その結果、塩分の少ないサラサラの汗がかけるようになります。つまり熱中症対策として、今すぐ始めたいのが暑さに体を慣らす「暑熱順化」なのです。
 かつては誰でも梅雨の間に暑さにさらされ順化したが、冷房のある環境で過ごす人が増えた今は積極的に順化するための対策が必要となります。本来は梅雨明けまでに順化しておけば、熱中症にかかるリスクをぐんと下げられるのです。
 暑熱順化で変わるのはまず汗のかき方です。順化すると汗腺の働きが良くなり、汗とともに出るナトリウムの量が減り、その結果、体液バランスが崩れにくくなります。実際、研究の上で、暑さに慣れていない冬場と、慣れている夏場では、同じ運動をしても汗に含まれるナトリウムの量に差があることが確認されています。さらに暑熱順化すると、体温の上昇を察知して汗をかき始めるタイミングが早くなります。体液量が増えて水分喪失に対する予備力が高くなる側面もあるのです。順化した人は発汗後の水分補給で体液量を回復しやすいことも、研究で明らかになっています。

 運動すれば一週間程度で“順化”する。暑熱順化させるポイントは自力で汗をかく練習を積むこと。

 手軽にできる暑熱順化の方法 
1 半身浴やサウナで汗をかく
2 ウオーキングで汗をかく
3 自転車をこいで汗をかく
 ※暑熱順化を促すお薦めの方法はこの三つ。
梅雨の間はシャワーで済まさず浴槽につかってしっかり汗をかこう。入浴と軽い運動を組み合わせて行えば一週間程度でほぼ暑熱順化できる。

  睡眠中や飛行機でも脱水症状は起こる!

 体液はじっとしていても尿や汗、呼吸などで一日に二リットル前後失われる。夏は睡眠中に失う汗の量も多く500ミリリットルから一リットルに及ぶこともあります。そのため水分の予備が少ない高齢者は睡眠中に脱水状態になることも・・・
 海外旅行などで長時間、空気が乾燥した飛行機内でじっとしているときも要注意。知らず知らずのうちに尿や汗で水とナトリウムを失うので、水だけを飲んでいると血液がドロドロになることも。

 ■食事■
食の管理も必要

 熱中症は近年に流行ってきた事ですが、スポーツ界では相当前から、クエン酸の補給等、対策や対応をしてきました。
 名古屋グランパスの選手が実際に実践している夏バテ予防策は
 名古屋グランパスの選手が実践しているのは、ドライフルーツと梅干しを利用する夏バテ対策です。ドライフルーツは鉄分が豊富なので貧血予防になり、梅干しは塩分とクエン酸が含まれているので熱中症対策に最適。摂取量としては、ドライフルーツは手の平に乗る量、梅干しなら一粒摂取するだけで効果があります。


 ■服装■
ハイネックのシャツは、首周りの直射日光を防ぎ体調が悪くなるのを防ぎます。

 甲子園球場で熱戦が繰り広げられている全国高校野球選手権大会。プレーする球児の着こなしに着目すると、ひと昔前とは明らかに違うことに気づきます。特に今大会で目立つのは、長袖にハイネックのアンダーシャツ。真夏には不似合いに思え
るアイテムだが、暑さ対策の効果はてきめんだそうだ。
 直射日光を防ぐ観点からもハイネックのタイプが人気。素材は、ポリエステル製が主流。重量は、これまでの綿素材の170グラムに対し、ポリエステル製は95グラムと約44%も軽量化に成功。肌にぴったりと張りつき、一見すると暑そうだが、吸汗速乾性に優れ、伸縮性も高い。また、首筋の日焼け防止も人気の理由です。首筋の日焼けは、疲労に関係してくるので大変重要です。


 ■水分補給■
あまり糖分の多い飲料を摂取すると体内への吸収が遅くなるので注意

 汗を大量にかいたときは水分と一緒にからだの電解質(ナトリウム・カリウム・カルシウム)も失われます。その電解質は神経の伝達や分泌線の活動、筋肉の収縮などに必要不可欠なものです。スポーツドリンクにはそのような電解質だけでなく糖分もふくまれている為、筋肉を動かすのに必要なエネルギーも供給できます。しかしあまり糖分の多い飲料を摂取すると体内への吸収が遅くなるので注意しましょう。

 
水分補給方法
 人は汗や尿、呼吸などから水分が失われています。一般の成人は一日に約2.5リットルの水が必要といわれています。そして運動時は、個人差はありますが、1時間に0.8〜3リットルの水分が失われます。体重の2%の水分がからだから失われると、喉の渇きを感じますが、このときは既に脱水初期のシグナルなのです。
 さらにこのシグナルを無視して、4%以上の水分が失われると、からだはエネルギーの生産がうまくできず脱力感が起こるだけでなく、吐き気やめまい、筋力・筋持久力の低下、血液量の減少から起こる心臓の機能低下、体温調節機能の低下、内臓の機能低下など様々な弊害がおこります。
 ここで大事なのは水分補給の方法ですが、水を一度に大量に飲むのではなく、1日の必要量をコップ1杯(150〜200ミリリットル)で6〜8回にわけて飲むのがおすすめです。大量に飲むと胃腸に負担がかかり体がだるくなる場合があります。
 コップ1杯の水を起床時、食事、入浴前後、就寝前など数回にわけます。また、スポーツのときは大量に汗をかくのでスポーツをする前、最中、後に数回にわけて水分補給をしましょう。
 また、お酒を飲んだ際にも脱水傾向(尿の回数が増える)になるので水分補給を忘れずにしましょう。

 ■睡眠■
 どんなに元気な球児でも睡眠はしっかり取らないと暑さに耐えられない

 睡眠不足は熱中症を引き起こしやすく、また、疲労の蓄積、集中力の低下などによってケガなどを誘発させるので、睡眠時間や睡眠状況をチェックしておく必要があります。睡眠時間は8時間以上、就寝と起床の時刻を一定にする、寝苦しくて寝れない、などのことが無いように気をつけてください。

 夜間の熱中症対策とは部屋を節電しながら効率よく冷やす

 昨年、熱中症で亡くなられた方の約4割が夜間ということをご存知でしょうか。(夜間=夕方の5時から朝方の5時にかけて)熱帯夜の日数を10年前と比べると 10年前で13.8日、昨年は32.3日に。毎年毎年、平均気温が高くなっているのです。

 夜間熱中症の特徴
●脱水症状から起こるケースが多い
●熱帯夜の睡眠時に汗が500ml以上出る
●高齢者やアルコールを飲んで寝る人
 (高齢者=体内の水分が低下 温度の感覚低下)
 (アルコール飲んで寝る人=脱水がすすむ)

 
エアコンはいつ、つけたほうがいいか
 寝るときにエアコンをつけるのではなくて、寝る前に部屋を冷やして休むほうがいい。その後、風通しを考えることが大切である。たんすの引き出しをあけたり、押入れをあけて部屋を冷やすほうが、昼間の熱気を十分に冷やせて効果的に冷やせるのです。そしてその後は、窓をあけたり扇風機のタイマーをつけて風通しをよくするようにしましょう。

 
体の働きで体温を下げて睡眠の準備をする
 体は睡眠の準備をするときに、熱を下げます。汗をかくことで熱を下げます。温度 湿度が高いと不眠症になる可能性が高くなります。
 では水風呂はいいのでしょうか。答えはよくないです。
 体は、体温が下がるときに眠たくなるようになっています。水風呂で体温を下げると 当然ながら眠気はなくなります。
 睡眠への準備のおすすめは、寝る1時間前に熱すぎない40度ぐらいのお風呂で適度に温めるほうが 質のいい睡眠に入っていけます。
 その他、乾いたタオルでふくことも効果的。濡れたタオルではダメ。乾いたタオルで。皮膚に余分な水分をつけることで汗が蒸発しにくくなるからです。ただし、汗がひどく出ている人は塩分や脂肪分がついてるので、それを濡れたタオルでふいて取りのぞいて、その後で、乾いたタオルでふいてください。

 
通気性のある寝具を使うと効果的
 体と寝具の間に熱がたまりやすいので、かための敷布団がおすすめです。糊のきいた綿のシーツにするだけでも違うようです。タオルケットは横に使って、冷やしたらいけないお腹中心にかけます。ガーゼは通気性がとても良いですが吸収性に欠けます。ご家庭にあるものの中で、自分に合う寝具を考えてみるのも一つの暑さ対策といえます。そして、温度、湿度計をチェックしながら、28度を目安にエアコンをつけることをおすすめします。節電も大切ですが 命に変わるものはありません。そして、エアコンは体に悪いと思われてる高齢の方も是非、実践してみて下さい。
 どうぞ この夏、熱帯夜が多くなることが予想されます。
 お元気な夏に、健康な夏に、意識を高く持つことで乗り切れます。 
    ぜひ実行を!